糖尿病とは、遺伝、食生活の乱れ、運動不足、肥満、ストレスの蓄積などが長く続いた結果、体内のブドウ糖(血糖)に作用する「インスリン」というホルモンが充分に作用しないために血糖値が高い状態が続く病気です。血糖値が極端に高い場合には、命の危険もあるので早急に治療する必要があります。
また、症状が無くても「糖尿病の合併症」を引き起こさないよう血糖値の推移に注意しておく必要があります。放置すると全身にさまざまな影響が出てきます。
糖尿病は、大きく分けて以下の4つのタイプに分けられます。
1型糖尿病 | インスリンを生成する膵臓(すい臓)の細胞が何らかの原因で破壊・消失することで発症し、糖尿病になります。子どもや若年者に多くみられますが、比較的高い年齢でゆっくりと進行するタイプもあります。 |
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2型糖尿病 | 一般的に日本の糖尿病患者さんの大部分はこの2型糖尿病です。遺伝的な体質・過食など食生活の乱れ・運動不足・肥満などの生活習慣や加齢といった要因が加わり、インスリンの不足や機能が低下し糖尿病を発症します。このため、2型糖尿病は「生活習慣病」の1つであり、主に中高年以降に多い病気ですが、最近では若年層の発症も増加してきています。 |
その他の糖尿病 | その他、遺伝子異常やホルモン異常、薬剤の服用などが原因で発症するものがあります。 |
妊娠糖尿病 | 妊娠中、胎盤が作るホルモンの一部にはインスリンの機能を抑制するものがあり、血糖が上昇しやすくなります。妊娠中に血糖の高い状態を初めて発見された場合が妊娠糖尿病です。 |
体内に取り込んだ砂糖やでんぷんなどの糖質は、胃腸によって消化されブドウ糖(グルコース)となります。このブドウ糖は血液によって全身の臓器に運ばれ、私たちの生命を維持する大切なエネルギー源として利用されています。「血糖」とは血液中のブドウ糖のことを指し、血糖値とは血液中のブドウ糖の量を表しています。
通常健康な人の血糖値は、空腹時で約80~110mg/dLで、食後にブドウ糖が血液の中に入ってきても〜約140mg/dLです。「高血糖」とは血糖値がこれよりも高い状態を表します。
インスリンは、膵臓(すい臓)から出るホルモンの一つで、血液中のブドウ糖(血糖)を全身の臓器へ吸収させ、血糖値を下げる唯一のホルモンです。インスリンは膵臓(すい臓)のランゲルハンス島という部分のβ細胞で作られ、血液によって全身に運ばれます。
食事などによって血糖値が上がると、膵臓(すい臓)のβ細胞がインスリンを分泌します。全身の臓器は血糖をインスリンの働きによってとり込んだ後、エネルギーとして体内で貯蔵・利用し、さらにタンパク質の合成や細胞の増殖を促します。
このように私たちが食事などで取り込んだ血糖は、インスリンの働きのおかげで速やかに処理され、一定量に保たれています。
血糖値が高い状態が長く続くと様々な合併症を引き起こす可能性が高くなります。早めにきちんと治療を行い、血糖値をコントロールをすることで糖尿病の合併症の発症を防ぎ、また、起きてしまった合併症の進行を抑えることができます。
この糖尿病特有の合併症には、血管の大小から「細小血管症」「大血管症」の2種類に大きく分けられます。
網膜内の毛細血管など、体内の細い血管にみられる糖尿病特有の合併症です。主に「糖尿病の3大合併症」と呼ばれる病気を指します。
糖尿病網膜症 | 長年の高血糖によって網膜内の血管が障害を受けると、網膜内に出血や白斑と呼ばれる病変が現れ、目のかすみ・視力低下などの症状を引き起こします。症状が進むと最悪の場合、失明してしまうこともあります。 |
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糖尿病性腎症 | 高血糖が長期間続くことで腎臓内の血管障害や膜に変化が起こり、老廃物を尿として排泄する濾過機構が破綻する病気です。「体内の濾過装置」である腎臓の働きが悪くなると、血圧の上昇・尿にたん白が出る・体がむくむなどの症状が現れ、さらに症状が進むと、血液中に老廃物が溜まり、腎不全や尿毒症など生命に関わる重病を引き起こします。このように慢性に経過する腎臓病のことを慢性腎臓病(CKD)といい、腎不全になってしまうと人工透析を受ける必要が出てきます。人工透析導入の最も多い原因は糖尿病性腎症です。 |
糖尿病性神経障害 | 知覚神経や自律神経に障害が起こり、手足の痛み・ほてり・しびれなどの症状や便秘・下痢・立ちくらみ・勃起障害(ED)などを引き起こします。進行すると足の潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)の原因となります。 |
大きな血管が動脈硬化することで起こる合併症で、動脈硬化は糖尿病を発症していると進行しやすく、脳卒中・心筋梗塞・足の壊疽(えそ)や皮膚潰瘍(かいよう)などの深刻な状況を引き起こす原因になります。他に動脈硬化の主な原因は、脂質異常症・高血圧・喫煙・肥満・加齢などにあるといわれ、併せて治療する必要があります。
脳卒中 | 脳卒中の代表的なものには、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血があり、「脳の血管が詰まる=脳梗塞」、「脳の血管が破れる=脳出血・くも膜下出血」と分けることができます。この中で、糖尿病患者さんに多いのは脳梗塞で、手足が動かなくなる、言葉が急に出なくなる、ものが二重に見えるなどの症状がみられ、重症の場合は生命に関わります。脳卒中は命に関わるだけでなく、手足の麻痺や言語障害などの後遺症が残ることもあり、患者さんはもちろん、ご家族の生活にも影響を及ぼします。 |
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心筋梗塞 | 我々の生命を維持するのに欠かせない心臓。そして、この心臓を鼓動させている筋肉(心筋)に栄養や酸素を送る働きをしている冠動脈。心筋梗塞はこの冠動脈が動脈硬化することで起こる病気で、心臓の働きが著しく低下してしまう、生命に関わる病です。血糖値の高い糖尿病患者さんが心筋梗塞を起こす危険度は、健康な人の数倍とされています。症状としては、胸が締めつけられるような強い痛みの他に、初期症状として、息切れしやすい、脈が途切れる(不整脈)、体がむくむなどの症状が現れます。 |
末梢動脈性疾患(PAD) | 足の血管の動脈硬化により血流が悪化することで引き起こされます。足やふくらはぎのしびれや痛みなどの症状が現れ、休みながらでないと歩けない(間欠性跛行)など日常の運動が困難になり、生活の範囲も制限されてしまいます。 さらに悪化すると潰瘍ができたり、ひどい場合には壊死したりすることもあります。 |
糖尿病の診断には、血液検査が必要です。当院では、院内で血糖検査及びHbA1c検査を行っています。
○ 血糖検査(随時/空腹時) | 食事時間とは関係なく測定する「随時血糖検査」と、朝食を抜いた後空腹の状態で測定する「空腹時血糖検査※」があります。※検査前日夜9時から検査終了まで食事はとらないでください。 |
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○ 75g経口ブドウ糖負荷検査 | 空腹時血糖検査後、75gのブドウ糖液を飲み、30分、1時間、2時間後に血糖値を測定します。 |
○ HbA1c検査(ヘモグロビン/エー・ワン・シー) | 赤血球にあるヘモグロビンと血液中のブドウ糖が結合したHbA1cの値で、過去1~2ヵ月の血糖コントロールの状態を反映した値です。 |
グリコアルブミン検査 | 血液中のタンパク質のアルブミンが、ブドウ糖と結合しているか割合を調べる検査で、過去1~2週の血糖コントロールの状態を反映した値です。 |
※○の検査は当院で測定できるため、すぐに結果が出ます。
糖尿病の治療は、大きく分けて食事療法と運動療法、薬物療法、そして動脈硬化などの合併症予防のための生活療法などがあげられます。毎日の規則正しい食事と食後の適度な運動でブドウ糖を効率よく消費し、インスリンの機能を活性化させ血糖値を下げ、必要に応じてお薬を体内に取り込むことで高い治療効果が期待できます。
糖尿病とうまく付き合っていくためには食事療法が不可欠です。まずはこれまでの食習慣を改善し、血糖値を良好にコントロールすることから始めましょう!
『食事療法=カロリー制限』の印象があるかもしれませんが、単に摂取カロリーを制限すればよいというものではなく、身体活動量等に合わせた分量で、バランス良く食事をする必要があります。そのため、食品に含まれる栄養素やエネルギー量を知っておくことも大切です。
毎日食後1〜2時間後に「少し汗ばみ、隣の人とラクに会話ができる程度」の運動を30分程度行うことでインスリンの働きが活性化し、血糖コントロールが良くなります。特に、2型糖尿病患者さんは、運動療法により脳卒中の発症率や死亡リスクが少なくなることが明らかになっています。
当院では、食事療法と併せて糖尿病治療に適した無理のない最適な運動メニューをご提案いたします。
通常は食事療法や運動療法、生活療法を数カ月続けても血糖コントロールがうまくいかない場合に、お薬による治療を開始します。食事療法や運動療法の効果・体型・インスリン分泌量から、「血糖降下薬」や「インスリン注射」など使用するお薬を決定していきます。
お薬は決められた通りに服用しないと、血糖コントロールがうまくいかず、血糖値が下がらなかったり、逆に低血糖を起こす恐れもありますの。必ず指示どおりに服用しましょう。
糖尿病の改善と合併症の予防のために、いつも健康で楽しい毎日を過ごせるよう努力することが大切です。
当院では食事療法・運動療法と平行して、以上のような生活習慣にまつわる問題の改善点をアドバイスいたします。
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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*休診日/水曜午後・日曜・祝日 *受付は診療終了30分前までです。 *糖尿病や甲状腺での受診の方や紹介状をお持ちの方は必ずご予約ください。 *他院通院中の方や転院希望の方は、紹介状を必ずご持参ください。