甲状腺は、首の前、だいたいノドボトケのすぐ下にあります。よく「蝶が羽を広げたような形状」と表現され、気管や食道とつながりは無く、独立した形で気管を包み込むようについています。臓器としては比較的小さめで非常に薄く柔らかい臓器です。
この甲状腺では、体の発育を促進したり、新陳代謝を盛んにする働きがある甲状腺ホルモンを生成・分泌しています。甲状腺ホルモンは、食物(主に海藻)に含まれているヨウ素(ヨード)を材料にして生成されています。
甲状腺ホルモンには、食物として摂取されたタンパク質・脂肪・炭水化物の合成を促進して、新陳代謝を活発化させる作用があります。身体の新陳代謝が活発化すると、各種の栄養素が十分に活用され、心身共に健康になります。特に細胞や組織の発育には大きく関わり、胎児や子供の成長促進には、甲状腺ホルモンの存在が欠かせません。
甲状腺ホルモンは前述のように主に体内の新陳代謝を高めるホルモンですが、甲状腺ホルモンの分泌が増減すると新陳代謝のバランスが崩れ、動悸や息切れ・むくみ・原因がわからない体調不良や疲れが溜まるなど様々な諸症状が現れます。甲状腺の病気には、甲状腺の「働き」の変化と「形」の変化という特徴があり、病気によってその両方の変化が現れたり、あるいはどちらか一方だけが現れたりします。主に下記の3つに分けられます。
甲状腺中毒症は、甲状腺ホルモンをつくる働きが異常を起こし甲状腺ホルモンが過剰分泌されている状態で、全身の代謝が過度に高まる症状です。主に下記のような症状があげられます。
バセドウ病 | バセドウ病は、甲状腺中毒症の代表的な疾患で、甲状腺が甲状腺ホルモンを血液中に過剰に分泌する為に、上記の症状などの他に、甲状腺の腫大、頻脈、眼球突出などの症状が現れる病気です。その他、甲状腺が腫れる、脈が速くなる、動悸・息切れ、手が震える、汗をかきやすくなる、体重減少、イライラする、疲れやすい、ときどき手足の力が入らなくなる(周期性四肢麻痺)、暑がりになるなどの症状も現れる甲状腺疾患です。 |
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破壊性甲状腺炎 | 破壊性甲状腺炎は、ウイルスや自己免疫の異常が原因で甲状腺の組織が炎症を起こし破壊され、甲状腺に貯まっていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出て血中の甲状腺ホルモン量が増加する症状です。この症状は有痛と無痛の2種類の症状に分けられ、甲状腺が硬く腫れ、痛みを感じる場合は亜急性甲状腺炎、特に痛みがなく、動悸、暑がり、体重減少、むくみ、体重増加、寒がりなどが現れる場合は無痛性甲状腺炎となります。これらの症状は、血中甲状腺ホルモンの量だけではバセドウ病との区別がつかないことがありますので、多くは血液中の炎症反応や抗体検査で診断します。 |
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンをつくる働きが異常を起こし甲状腺ホルモンの分泌が不足している状態で、全身の代謝が低下してしまう症状です。主に下記のような症状があげられます。
慢性甲状腺炎(橋本病) | 慢性甲状腺炎は、1912年に世界で初めて日本の橋本策先生が初めて報告された病気で、先生の名前にちなんで橋本病とも呼ばれています。原因は主にウイルス性の炎症ではなく、自己免疫の異常により甲状腺で炎症が生じる病気で、体内のある特定のリンパ球が自己の甲状腺組織を破壊して、慢性炎症が起こる病気といわれています。 |
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甲状腺腫瘍 | 甲状腺腫瘍には、バセドウ病や橋本病などのように甲状腺全体が腫れる「びまん性甲状腺腫」と、甲状腺が部分的にしこりのように腫れる「結節性甲状腺腫」があり、その中で良性と悪性があります。
まずは超音波(エコー)で検査します。良性か悪性か超音波下穿刺吸引細胞診(超音波による画像を見ながら腫瘍に採血用の針と同じ太さの細い針を刺して直接細胞をとり、採取した細胞を顕微鏡で調べる方法)が必要であれば専門施設をご紹介いたします。 |
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