脂質異常症(高脂血症)は、コレステロールや中性脂肪など血液中の脂質が多過ぎることで血管の壁にコレステロールが溜まり、血管の内腔が狭くなってしまう病気です。血液中の脂肪が異常に増えても、通常症状は現れません。ここがこの病気の恐ろしいところで、症状が現れないのにも関わらず、知らず知らずのうちに増えた脂質がどんどん血管の内側に溜まり、静かに動脈硬化と呼ばれる変化が起こります。
動脈硬化が進むと、全身の動脈が硬くなり、次第に血管の内側が狭くなって血液が通りにくくなります。そしてあるとき突然、心臓や脳などの血管が詰まり、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こします。
このように脂質異常症(高脂血症)は生命を脅かす病気につながる恐ろしい症状ですので、肥満傾向の方はもとより、食生活が乱れ気味の方、血中コレステロールが気になる方などは、ぜひ一度当院で血液の状態を調べてみましょう。
脂質異常症(高脂血症)は、原因から「原発性高脂血症」と「二次性(続発性)高脂血症」の2種類に分けられます。
また、異常値を示す脂質の種類によって「高LDLコレステロール血症」「低HDLコレステロール血症」「高トリグリセライド血症」にも分けられますが、一人の患者さんが複数のタイプをあわせ持っていることもあります。
高LDLコレステロール血症 | 動脈硬化に関係が深いLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高いタイプの脂質異常症(高脂血症)です。日本で最も増えているタイプであり、日本人の約20%が高コレステロール血症の疑いがあるともされています。 |
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低HDLコレステロール血症 | 動脈硬化を防ぐ働きを持つHDLコレステロール(善玉コレステロール)が低いタイプの脂質異常症(高脂血症)です。血管内のコレステロールを肝臓に戻す働きのあるHDLコレステロールは、動脈硬化を防いでくれます。 |
高トリグリセライド血症 | 高トリグリセライド血症とは、トリグリセライド(中性脂肪)が高いタイプの脂質異常症(高脂血症)で、アルコールや肥満との関係が深いといわれています。脂肪肝を合併していることも多く、値が高いと急性すい炎を引き起こす可能性があるため注意が必要です。 |
脂質異常症(高脂血症)の診断には、血液検査が必要です。主に次の4項目を測定します。当院では、4項目を院内で測定しています。
血液検査※検査前日21時以降〜検査終了まで食事はとらないでください。 | |
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総コレステロール値 | コレステロールは悪いイメージが先行しがちですが、肝臓で生成され、細胞膜の維持に必要な物質です。血管やホルモン、消化酵素の胆汁酸の原料になります。
総コレステロールの基準値は「140~219mg/dL」で、220mg/dL以上の場合、高脂血症が疑われます。 |
HDLコレステロール値 | HDLコレステロール(善玉コレステロール)は、体中の血管の壁についている余分な脂質(コレステロール)を肝臓で処理するために回収してくれるコレステロールで、この値が低いと血管にコレステロールがたまって動脈硬化が進みやすくなります。
HDLコレステロール値が40mg/dL未満の場合、低HDLコレステロール血症が疑われます。 |
LDLコレステロール値 | LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が肝臓に持ち帰った体中の血管の壁についていた余分な脂質(コレステロール)を再び体内にばらまいてしまうコレステロールです。
LDLコレステロール値の基準値は60~139mg/dLで、140mg/dL以上の場合、高LDLコレステロール血症が疑われます。 |
トリグリセライド値(中性脂肪値) | トリグリセライド(中性脂肪)は体脂肪の元になる物質で、トリグリセライド(中性脂肪)が蓄積されると体脂肪になります。トリグリセライド(中性脂肪)が高いと動脈硬化が進みやすくなると考えられ、極端に高くなると糖尿病、脂肪肝、急性すい炎などを引き起こす可能性があります。
健康な方のトリグリセライド(中性脂肪)の基準値は30~149mg/dLで、150mg/dL以上の場合、高トリグリセライド血症が疑われます。 |
脂質異常症(高脂血症)は多くの場合、普段の食生活や運動不足などの生活習慣が深く関係しています。ですから、脂質異常症(高脂血症)治療の基本は、食事療法と運動療法と薬物療法です。食事療法と運動療法で脂質が改善しない時や、遺伝が原因で起こる原発性高脂血症(家族性高コレステロール血症)、動脈硬化による心筋梗塞・脳梗塞などの発作を起こしている患者さんなどには薬物療法を行います。
脂質異常症(高脂血症)を治療していくためには食事療法が不可欠です。まずはこれまでの食習慣を改善し、外食はなるべく控え、塩分・糖分・油分などを抑えた栄養バランスのよい食事をとることから始めましょう!また、カロリーにも十分注意する必要があります。
脂質異常症(高脂血症)を効率よく治療していくために、食事療法と併せて運動療法も取り入れていきます。特に効率よく脂肪の燃焼が期待でき、中性脂肪減少、コレステロール低下を促進する有酸素運動を継続的に行うことが重要です。 有酸素運動と言っても、激しいものではなく、ウォーキングや軽いジョギングなどでも大丈夫です。「少し汗ばみ、隣の人とラクに会話ができる程度」の運動を1日1時間程度、毎日継続してコツコツと始めるだけでも脂質異常症(高脂血症)の改善は期待できます。当院では、食事療法と併せて無理のない運動メニューをご提案します。
脂質異常症(高脂血症)のお薬には、主にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)やトリグリセライド(中性脂肪)を下げるお薬があり、患者さんの症状・体調を考慮した上で処方いたします。
しかし、脂質異常症(高脂血症)に対する薬物療法はあくまで症状に応じた対処療法ですので、お薬の効果をしっかりと出すために、まずは上記の食事療法や運動療法、生活療法をしっかり実践していただくことが重要です。
また、副作用を防ぐためにも、必ず医師の指示通りに服用してください。お薬の効果や、副作用がないかどうかを確認するために、定期的に血液検査を行います。
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